2011年12月31日土曜日

【Ⅰ-(ⅱ)-(b)】本論文の概要

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(b)本論文の概要

この論文の目的は、船というモチーフの意味内容を明らかにし、《氷海》の解釈が決してネガティブなものではなく、カタルシスの後に希望がくることまでを意味していることを過去の言説に触れながら論証していくことである。
 第一章は本論の前提となる序論であり、研究の目的と意図を示す。
 第二章では、対象となる作家と作品の、研究の上で不可欠な基本情報を示す。《氷海》の来歴と制作された背景、解釈の歴史を論じ、さらに作家の半生のプロフィールと様式形成のプロセスを概観することとで本論の基礎をつくることが主な内容だ。
 第三章では、風景画の歴史におけるフリードリヒの位相を明らかにし、さらに彼の思想形成の主たる要素(それがすなわちドイツ・ロマン主義の諸相)を具体的に列挙し、フリードリヒが合目的的に氷海のモチーフを構成するに至った背景を分析する。
 第四章では、古今の「船」の作品を例証し、また同時代の作家が描いた船との比較を通して船というモチーフの歴史を概観する。フリードリヒの他の作例を検証しながら、氷海における船の表す意味内容を絞り込む。
 第五章では、結論を述べる。船が「国家」を意味していることことを示し、その上で《氷海》の真意を結論づけたい。


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